戌井昭人 Book Marché「古本ともろもろ喫茶」開催のお知らせ

　作家の戌井昭人がレイニーデイブックストア＆カフェに自身の蔵書を持ち込み、古本市を開催します。コーヒーとお菓子も用意します。当日お店は、さながら懐かしい古本喫茶になります。
　この日は戌井本人が店の主人。店番をしております。思い入れのある本、読んでもらいたい本など、置いてある本のエピソードを語りながら販売をします。また、「読書会」や「創作作文講義」も行います。もちろん、コーヒーやお茶を飲みに来るだけでも構いません。のんびりと本の時間を遊んだり、創作的な気分になってみたり、本をめぐる小さな旅、ちょこっとのぞいてみてください。

Book Marché「古本ともろもろ喫茶」
①コーヒーとお菓子と古本マルシェ
開催日
第1週：6月27日（金）、28日（土）、29日（日）
第2週：7月4日（金）、5日（土）、6日（日）
11時開店、18時閉店

②創作作文講義　☞お申し込みはこちらから
開催日時
第1回：6月28日（土）15:00〜16:30（90分）
第2回：7月5日（土）15:00〜16:30（90分）
参加費：￥15,000（税込）／全2回
募集定員：最大8名程度

文章を書いてみましょう。1回目、戌井昭人が90分の講義を行います。2回目には、皆さんが作ってきた作文の発表会を行います。創作は、堅苦しいものではありません。あなたが見たものを書く。表現された世界がどんな風に見えるのか、そんな時間を楽しみませんか。

③読書会　☞お申し込みはこちらから
開催日時
第1回：6月29日（日）15:00〜16:40（100分）
第2回：7月6日（日）15:00〜16:40（100分）
参加費：￥10,000（税込）／全2回
募集定員：最大8名程度

戌井昭人の好きな作家、好きな作品を読んで、みんなでその本について語らいましょう。1回目は深沢七郎『みちのくの人形たち』、2回目はつげ義春『貧困旅行記』をとりあげます。
＊参加費に書籍代は含まれません。また、会場で課題図書の販売はありません。

＜参考＞
深沢七郎『みちのくの人形たち』（中公文庫）
https://www.chuko.co.jp/bunko/2012/05/205644.html
つげ義春『新版　貧困旅行記』（新潮文庫）
https://www.shinchosha.co.jp/book/132812/

「古本ともろもろ喫茶について」戌井昭人

　その昔、近所の古本屋さんには、おっさんがひとり、レジの前に座り、自分で淹れたコーヒーを飲みながら、老眼鏡をかけ、分厚い本を読みながら店番をしていました。
　わたしは、その店の、古本のカビ臭いニオイと、コーヒーの豆のニオイが混じり合っているのがとても好きでした。 おっさんは、帳場に座りながら、豆を挽き、コーヒーを淹れていたので、レジの前にはコーヒーの豆のカスが散らばっていたのです。
　わたしが本を物色しながら、本棚から本を取ると、おっさんは、たまに、「その本、おもしろいよ」などと話しかけてきてくれました。
　また、夜になると、近所の学生が数人やってきて、レジの前に集まり、おっさんと、読んだ本について、なにやら話していた光景を思い出します。
　このように、本と人がつながったり、本を介して、なにやら、気持ちがあがっていくような場ができればと考えていました。
　ようは、わたし自身が、そのおっさんのようになる時期が、そろそろやってきたのではないかと。
　さらに、読書会をひらき、あの古本屋のレジ前で、本について語り合っていたように、自分の考えを伝え、他人の考えを聞くという、根源的な楽しみ方をするのもいいかもしれない。
　また、講義とは大仰になるけれど、自分が、どのような感じで文章を作り、勝手に面白がって、楽しんでいるのか、などをお話しして、最終的に、それぞれ、文章を作ってみて、発表してはどうか。子供のころの、作文発表会みたいな感じでもあります。
　これらを、古本とコーヒーの香りがただよう、SWITCH地下、レイニーデイブックストア＆カフェで行いたいと思うのでした。

戌井昭人
1971年東京都生まれ。パフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」を旗揚げ、以来、脚本と出演を担当、2009年「まずいスープ」で芥川賞候補となる。その後、「ぴんぞろ」「ひっ」「すっぽん心中」「どろにやいと」と5回芥川賞候補になる。「すっぽん心中」で第40回川端康成文学賞受賞。「のろい男」で第38回野間文芸新人賞受賞。2024年は読売新聞夕刊で、「おにたろかっぱ」を1年間連載。近著には、芥川賞落選小説5作をまとめた「芥川賞落選小説集」がある。写真家・浅田政志とタッグを組み展開される、小誌『SWITCH』での「スイッチインタビュー」は連載120回を超えて継続中