
TEXT: HORIUCHI YUUKI
9月中旬のある日、ロンドンは一足先に秋の兆しが見え始め、涼しく過ごしやすい気候となっていた。毎年恒例であるロンドンファッションウィーク。JW ANDERSONは新たなコレクションの発表をあえてランウェイ形式ではなく、ソーホーにある旗艦店で行った。最近まで改装工事がなされていたソーホー店のお披露目も兼ねていたのだろう。店内をぐるりと眺めていると、コレクションアイテムだけではなく様々な生活の品が並べられていることに気が付く。あたかも親しい友人を家に招き入れ、世界中で集めたお気に入りの品々を丁寧に紹介するかのようなあたたかな気持ちになる空間であった。
いくつか気になった点を挙げてみよう。例えば、服屋では到底お目にかかることないアイテムが置かれていた。土いじり用のシャベルやじょうろ、英国式のマグとソーサー、ティーポットに(コーヒーの味がする!)茶葉、チャールズ・レニー・マッキントッシュによるスツールの復刻版 やJason Mosseriのチェアなど。いずれもデザイナーであるジョナサン・アンダーソンが厳選したもので、全て販売されているものだという。

心地が良く、上質で美しく愛しいものたち。これらの中には、ジョナサンがコラボレーションを願い、実際に商品として生み出されたものもある。例えば、ライトブルーの磁気に白のラインが爽やかで美しいルーシーリーとウエッジウッドのティーセット。これまで話は持ち上がっていたものの未制作の品であった。そこにJW ANDERSONが働きかけ、ふたつのコラボレーションが実現したという。

また、ウエッジウッドとJW ANDERSONのコラボレーションカップも登場。ジョナサンがオークションで見つけたギリシャの古いカップをオマージュしたデザインで、ブルー、イエロー、ブラウンの色味が揃えられている。さらに、愛らしい豚の描かれた陶器のシリーズ”The Pig Collection”も展開。これはアイルランドの陶器メーカー、Nicholas Mosseとのコラボレーションで、幼少期の記憶に残った牧歌的な田舎の風景をイメージしたデザインが施されている。陶器のシリーズに合わせて、豚の模様が描かれたJW ANDERSONのセーターも発表された。
7月にブランドを刷新しただけあり、ドレスやシャツなど、生地感や作りはいままでより一層上質なものに仕上がっていたのが印象的であった。各アイテムには生産地のタグがつくようになり、この服がどこからやってきたかに思いを馳せるのも楽しい。ちなみにデニム製品にはMade in Japanのタグがついていた。
もしロンドンを訪れることがあれば、ぜひ街の中心部、ソーホーに位置する旗艦店へ足を運んでみてほしい。40歳を超え、ディオールのデザイナーにも就任したジョナサンが提案する、愛らしくて真に上質なものたちに触れることで、自身の生活にどう彩りを与えるかのヒントになるかもしれない。








































