GO THE WILD SIDE OF MUSIC VOL.4 Tempalay

GO THE WILD SIDE OF MUSIC――VOL.4 Tempalay
変化し続ける音楽シーンという“荒野”に足を踏み入れ、新しい音楽を生み出そうとしている次世代のアーティストを紹介。第4回はインディロック界の“新世代”、Tempalay

PHOTOGRAPHY: SHINTO TAKESHI
TEXT: ITAKO JUNICHIRO

 

DNA MUSIC
Tempalayの“ユルさ”と“過激さ”の核にある30曲

久石譲、リップスライムといった邦楽からジミヘン、レッチリなどの洋楽まで、フロントマン・小原綾斗が幼少期から現在に至るまで聴き漁ってきた古今東西の名曲の数々


 

INTERVIEW
面白くないなと思われたら終わり

「22歳ぐらいで売れてるだろうなと思ってたんですけど、いつの間にか、最近は年齢も言いづらくなって。やっぱり“新世代感”ほしいじゃないですか(笑)」
 
 
インタビューの冒頭でTempalayのフロントマン・小原綾斗はそんなことを口にした。高知出身の小原は20歳の頃、音楽をやるために上京。しかし、当時組んでいたバンドを辞め、その後2年間はバイト先と自宅の往復に明け暮れ、夜は部屋でひとりギターを弾き続ける日々だったという。そうした中で、バーで知り合った竹内祐也(Ba)と遊びでバンドを始め、やがて、メンバーにイケメンがほしいという理由で藤本夏樹(Dr)が加入し、2014年にTempalayが誕生した。そして翌2015年、バンドにとって大きな転機が訪れる。
 
 
「結成したばかりの頃は、逆輸入みたいな形じゃないと日本人には聴いてもらえないと勝手に思っていたんです。だからライブもせずに音源を作って海外のレーベルに送ったりしてました。当時の最大の目標がフジロックに出ることで、ニューカマーが出演するROOKIE A GO-GOに応募したら出られることになっちゃって。そこから他のフェスにも出るようになり、アメリカツアーもやれて。日本に帰ってきたらめっちゃ売れてんだろうなと思ってたんですけど、びっくりするぐらい状況が変わってなくて、鼻をへし折られたというか。調子に乗ってた自分が恥ずかしくなりました。僕らは変わり者みたいな感じでプッシュされてたんですけど、もっと外に開いていかないとマニアックな層にしか届かないことに気がついたんです」
 
 
そして彼らはセカンドアルバムの制作に着手。2017年8月に『from JAPAN 2』を発表した。
 
 
「地に足が着かないままなんとなく過ごしてしまった時間を取り戻すように、必死で作ったのが『革命前夜』という曲。それができた時に、この曲があればアルバムも大丈夫だという手応えを感じました。それからの制作ではバンドのクリエイティビティが爆発して、結果的に良いアルバムを作れたと思います」
 
 
ジャンル的にはローファイ、サイケデリックと形容されることが多いTempalayだが、彼らの大きな魅力は楽曲に宿るユーモアとエロスだ。“革命”や“新世代”という言葉をさり気なく曲名や歌詞に取り入れるセンス、艶っぽいメロディと浮遊感のある快楽的なサウンドは秀逸だ。
 
 
「ユーモアやエロスというのは良質な芸術には必要不可欠なものだと思うのでそう言ってもらえるのは嬉しい。言葉ってすごく重要だと思うんです。たとえばある絵が飾ってあって、それにタイトルが付いているか、付いていないかでその絵の印象は全然違う。僕は“革命”という言葉に対して何の思い入れもないけど、そういう強い言葉を面白く使えるのはTempalayというバンドしかいないとも思うし。絶妙にダサい言葉をいかに面白くするか。要は“遊び方”なんだと思う。それと、セカンドを作る中では自分たちが意図していないところで生まれる良い意味での気持ち悪さや心地良さというものを感じる瞬間がたくさんあって。これからはそういう瞬間を曲の中に意図的に作っていけるかどうかがポイントになってくると思います」
 
 
その音楽性やメンバーの佇まいから、“ユルい”雰囲気を醸し出すTempalayだが、小原は冷静に次の目標を見据えている。
 
 
「一過性のムーブメントで終わらせないために絶対数のリスナーを獲得することがこれから必要だと思う。そのためには作品を作り、ライブをしながら模索していくことになりますけど、絶対にやっちゃいけないのは、何かに迎合してしまうこと。僕らは芸人じゃないですけど、このバンド面白くないなと思われたら終わりだと思っています」

 

GO THE WILD SIDE OF MUSIC――VOL.4 Tempalay
Tempalay 2014年結成。翌年フジロック“ROOKIE A GO-GO”出演を果たし、SXSW2016にも参加。昨年8月にセカンドアルバム『from JAPAN 2』発表。3/1にはドミコ、MONO NO AWAREと「中国巡演最終站」を開催
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