THE TOKYO TOILET / SHIBUYAがローンチ
今夏限定で森山大道の作品を施した意匠に

Photo by Daido Moriyama

今夏、東京・渋谷の公共トイレを舞台に、
新たなアートプロジェクト「THE TOKYO TOILET / SHIBUYA」が始動します。

7月19日(土)〜9月23日(火)の期間、東京・渋谷の公共トイレTHE TOKYO TOILET(以下TTT)の11カ所のトイレを会場に、写真家・森山大道氏が撮影したTTT写真を展示するアートプロジェクト「THE TOKYO TOILET / SHIBUYA」を開催します。本プロジェクトでは、公園内に設置された個性豊かな10カ所のトイレに加え、公共トイレ内にオープンスペースを備えた幡ヶ谷公衆トイレを会場として、森山大道氏によるTTT写真のインスタレーションを展開します。神宮通公園トイレには、TTTプロジェクトや「THE TOKYO TOILET / SHIBUYA」の概要を発信する意匠がほどこされ、幡ヶ谷公衆トイレには、同氏によるTTT写真を展示するギャラリー空間が出現します。さらに会場となる各トイレには、期間中、同氏による写真がプリントされたスペシャルなトイレットペーパーが設置されます。

2018年にスタートしたTTTプロジェクトは、東京・渋谷の17カ所の公共トイレを、世界で活動する16人のクリエイターたちの視点でリデザインし、性別、年齢、障害を問わず誰もが快適に使用できる場所へと生まれ変わらせました。都市の中に佇むあまやどりの場所、降り立った宇宙船のようなトイレ、タコ公園に建てられたイカのようなトイレなど、どれも見たことのないような個性豊かな公共トイレです。そしてそれは、映画『PERFECT DAYS』の舞台にもなりました。

トイレは日本が世界に誇る「おもてなし」文化の象徴。ところが、多くの公共トイレは暗い、汚い、臭い、怖いといったイメージにより利用者が限られている状態にあります。TTTは、その趣旨に賛同する16人のクリエイターたちが参画し、デザインとクリエイティブの力で新しい社会のあり方を提案し、社会課題の解決に挑戦しています。著名なクリエイターによって造られた施設も、きれいに保たれていなければ利用されません。そこでTTTのトイレは、プロジェクト当初から、清掃頻度を通常1日1回のところ最大1日3回に増やし、メンテナンスに力を注いできました。トイレをきれいに維持することで、利用者の「きれいに使おう」という意識を醸成したい。トイレがデザインやクリエイティブの世界において美しい場所として認知・評価されることでその意識が高まるのではないか。清掃員を主人公に物語をつくることで、「誰かがきれいにしてくれている」ことに気づいてもらえるかもしれない。そんな思いからTTTを題材としたアートプロジェクトを始動し、写真、映画、出版物などを通してその活動を積極的に続けています。

アートプロジェクトの第1弾となったのは、2022年にミラノで発表した「THE TOKYO TOILET / MILANO」。世界最大規模のデザインの祭典「ミラノサローネ国際家具見本市」にて、ドゥオーモの地下鉄駅構内にある公共トイレを改装し、世界的な写真家・森山大道氏が撮り下ろしたTTTの写真のインスタレーションを発表しました。第2弾は、2023年、毎年パリで開催される国際的な写真フェア「パリ・フォト」にて、同氏による写真のインスタレーション「THE TOKYO TOILET / PARIS」を展開。そして今夏、東京・渋谷のTTTのトイレを舞台に、第3弾となる「THE TOKYO TOILET / SHIBUYA」が始動します。本プロジェクトでは、個性豊かな11カ所のトイレを会場に、森山大道氏によるTTT写真のインスタレーションを展開するほか、同氏による写真がプリントされたスペシャルなトイレットペーパーが設置され、訪れる人々に新たな体験を提供します。

THE TOKYO TOILETプロジェクト概要

2018年、柳井康治氏の発案・資金提供によって発足し、渋谷区全面協力の下、日本財団が維持管理を実施した〈THE TOKYO TOILET〉プロジェクト。2023年に全17カ所の公共トイレ整備を完了し、2024年4月1日以降、渋谷区が維持管理を実施しています。トイレの設計施工には大和ハウス工業株式会社、トイレの現状調査や設置機器の提案にはTOTO株式会社の協力を得ています。

THE TOKYO TOILET / SHIBUYAイベント概要

開催期間 2025年7月19日(土)〜2025年9月23日(火)
開催場所 THE TOKYO TOILET 11カ所の公共トイレ
     笹塚緑道公衆、幡ヶ谷公衆、七号通り公園、西原一丁目公園、
     はるのおがわコミュニティパーク、代々木深町小公園、神宮通公園、
     鍋島松濤公園、恵比寿公園、恵比寿東公園、広尾東公園
     *施工状況によって、一部、開催期間が変更になる可能性があります
       *本プロジェクトのためのスペシャルなトイレットペーパーは数がなくなり次第終了となります

主催   渋谷区
撮影   森山大道
企画   MASTER MIND LTD.
協力   MATCH&CO / TANK / SKWAT / SWITCH

渋谷区長・長谷部健からのメッセージ
THE TOKYO TOILETにおいて、世界で活躍する建築家やクリエイターをはじめ多くの皆さまに、渋谷区内の公共トイレの整備、清掃、維持管理にご協力をいただきましたこと、改めて感謝申し上げます。昨年度から、維持管理を日本財団から引き継ぎ、渋谷区が行っています。これらのトイレを綺麗な状態で維持するとともに、誰もが公共トイレを大事に使っていく、関心を持っていただけるように、THE TOKYO TOILETの写真展を開催することになりました。多くの方々の「トイレをきれいに使おう」という意識が生まれるとともに、トイレがデザインやクリエイティブの世界において美しい場所として認知・評価されることで、その意識が高まるのではないかと考えています。本展によって、THE TOKYO TOILETをより多くの方に知っていただき、公共トイレの使い方やあり方について考えるきっかけになればと思います。

写真家・森山大道氏からのメッセージ
用を足すという、生理現象を処理するための場所だった公共トイレは、いわば都会に潜むものとしてあった。しかし、このプロジェクトのそれぞれのトイレは、実に明るい印象を与えている。一種の憩いの場として陽が当たっている。トイレの存在そのものを変えたとさえ思う。街の片隅にひっそりと潜む場所であった公園も、存在そのものが明るみを持って中心になっている。日常の中で一瞬、誰にとっても安心できる場所になったということが、THE TOKYO TOILETの最大の成果だと思っている。渋谷区でぼくが撮ったTTTの写真が、それらの公共トイレそのものに展開されることは、いわば街で撮ったものを街に返す、ということだ。作者の手を離れ、形を変えて外側へと広がっていくにしたがって、人の記憶の中で姿を変えていく。どんどんアノニマスなものになっていく。それが写真の一番の力だというのが、ぼくの思いである。

森山大道プロフィール
1938年大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て1964年に独立。写真雑誌などで作品を発表し続け、1967年「にっぽん劇場」で日本写真批評家協会新人賞受賞。2012年、ニューヨークの国際写真センター(ICP)が主催する第28回インフィニティ賞生涯功績部門を受賞。2016年、パリ・カルティエ現代美術財団にて2度目の個展「DAIDO TOKYO」展を開催。2018年、フランス政府より芸術文化勲章「シュヴァリエ」が授与された。2019年、ハッセルブラッド財団国際写真賞受賞

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THE TOKYO TOILET / SHIBUYA イベントに関するプレスコンタクト thetokyotoilet.mastermind@gmail.com

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