「混ざり合わないものが混ざり合ったときに生まれる違和感」。山口一郎が「Ploom AURA」とのコラボレーションを語る

PHOTOGRAPHY: MIYOSHI TSUKASA
TEXT:INO SHIN

 JTが、サカナクションの山口一郎とコラボレーションし、加熱式たばこ用デバイス「Ploom AURA(プルーム・オーラ)」のフロントパネルを製作した。

 コラボでは、「アーティスト山口一郎の愛着と経年変化」をテーマに、山口の日常の愛用品から着想を得て製作。明治8年創業の日本最古の手作り茶筒の老舗 京都「開化堂」の真鍮茶筒をもとにデザインした「真鍮」と、石川県の伝統工芸である九谷焼の窯元「上出長右衛門窯」製の湯呑みをデザインに落とし込んだ「九谷焼」の全2種をラインナップする。

 また、Ploom CLUBサイト内で展開中の「SENSATIONAL」プログラムでは、期間限定で山口とのコラボフロントパネルとコラボ喫煙具が抽選で当たるキャンペーンを実施。キャンペーン商品のフロントパネルは、同氏が実際に愛用する経年変化した素材を使用した開化堂の茶筒を着想源とした「緑青」、上出長右衛門窯の湯呑みに金継ぎを加えたデザインの「金継」、ブラジリアンローズウッド製デスクをモチーフにした「ローズウッド」の全3種を揃える。

 喫煙具は全2種を用意。スティックケースは、開化堂の真鍮茶筒を「Ploom専用たばこスティック」がぴったり収まるサイズにし、「Ploom・YI(Yamaguchi Ichiro)」と開化堂のロゴを刻印した。スティックトレイは、上出長右衛門窯の蓋つきの器をPloom専用たばこスティックが収まる形状にし、和装の男性がPloomを愛用する姿を意匠化した特別な絵付けを施した。

 山口一郎は、今回のコラボについて「混ざり合わないものが混ざり合ったときに生まれる違和感」と表現する。自分の身の回りにある生活やデザインから生まれたアイデアは、どのようにプロダクトに結びついていったのか。

—— 一郎さんはかなり早い時期から「Ploom」に切り替えていましたね。
山口 そもそもずっと紙巻たばこを吸っていて、加熱式たばこに変えたら自分のパフォーマンスが変わって、歌いやすくもなったし、作曲する時の習慣としても電子タバコの方が自分に合っていたんです。「Ploom」では最初「Ploom X」を手に入れました。僕はイサムノグチなどの彫刻が好きなのですが、「Ploom X」はデバイスとしてのフォルムが彫刻っぽかったし、フロントパネルも選べると知り、良いデザインのものを使ってみようと。

—— 2023年には「Ploom X」とのコラボレーションで2種類のフロントパネルを制作しています。もともとコラボについてはJTから依頼があったのですか?
山口 まずは僕からのアプローチでした。4年前にうつ病になったのですが、そのリハビリという発想でYouTubeの生配信を始めたんですよ。その頃はほとんど人と会わないし、喋らないから、まずは声を出すところから始めないとミュージシャンとして復活できないと思ったんです。生配信では僕の日常をそのまま出しているので、配信中も普通に「Ploom」を吸っているんですよね。それで、いろんなところで「Ploom」とコラボしたいと発信していたら、JTの方からお声がけいただいて。すでに自分の中にアイデアがあったので、そのままお伝えしました。
僕はデザイナーではないので、グラフィックを作ったり色味を指定したりすることは全くせず、単純に自分が欲しいモノを提案しただけです。もともと日本の伝統工芸が好きで、アンティークやヴィンテージ、歴史のある工芸を「Ploom X」と結びつけることで、より愛着が湧くんじゃないかなと。そこで前回は“べっ甲”と“桂剥き”、2種類のフロントパネルを作ってもらいました。

—— そもそも伝統工芸には、どのような興味がありましたか?
山口 写真家の森山大道さんの『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい』という対談エッセイ集を読んだ時に、「あ、ほんとそうだな」と思って。よくファッションの世界でも流行のサイクルがあると言いますよね。もちろん音楽でも80年代リバイバルや90年代リバイバルがあったりする。その中で、ただ単に全く同じようにリバイバルするのではなくて、例えばテクノロジーの進化によってリバイバルされたものが新しく感じられたり、どこかで変化して、それがオリジナリティになっていく。

つまり、「混ざり合わないものが混ざり合ったときに生まれる違和感」なんです。そこに自分はつねにアジャストしているというか、反応している気がします。今回の「Ploom AURA」もガジェットとしては最新じゃないですか。フォルムも洗練されてきている。そこにパネルというある種オプション的な部分で工芸的な古き良きものを混ぜ合わせることで、また新しいオリジナリティが生まれるんじゃないかと。

—— 今回「Ploom AURA」とのコラボレーションにあたりモチーフとした開化堂と上出長右衛門窯は、それぞれどのように出会ったのでしょうか。
山口 開化堂の八木隆裕さんと上出長右衛門窯の上出惠悟さんはもう長い付き合いです。彼らはどちらもそれぞれのブランドの6代目なんですよ。工芸って伝統を守って同じものを変わらず作り続けていく良さもあるじゃないですか。でも、例えばファッションでもそうですけど、ファストファッションが出てきたり、焼き物にしても安い量産品が出てきて、高いものに対して拒否感みたいなのが生まれてきて、それに抗うために若者に人気のブランドとコラボしたりすることが伝統工芸の世界でもあるし、今の生き残り方なのかなと勝手に思っていました。

丸若裕俊さんという現代カルチャーと工芸を混ぜ合わせることをトライしている友人がいて、丸若さんから上出さんや八木さんを紹介してもらったんです。彼らはただ単に古き良きもの作りを続けるだけではなくて、新しい要素やサブカルチャーをすこし混ぜ合わせることにチャレンジしていました。幸いお二人はヒップな感性もあったし、上出さんは東京藝大出身でアートの文脈も理解している人だったので、感覚的にもやっぱりすごく近いんです。

実はこのコースターセットも、僕が上出さんと八木さんにお願いして共同で作っていただいたものです。他にもいろいろと一緒に作ったりしているので、今回のパネルに関しても、この二人しかいないんじゃないかと。もちろん本物の真鍮や陶器をそのままパネルに貼ることはできないのですが、その面白さをちゃんと理解してくれるのは彼らだろうと思い、オファーしました。そもそも自分の家にあって眼にするのも工芸的なものが多いから、その空間にマッチするものとして自分自身が欲しいという感覚もありました。

—— 自分の生活の延長線上にある発想ということですね。
山口 最近、昔のものの良さを理解した上で取り入れる面白さもわかってきたんです。2023年にフリッツ・ハンセンの創業150周年企画で、同社の家具をカスタムする企画に参加させてもらったのですが、自分も使っている椅子を杞柳細工と組み合わせてもらったらすごく良かったんです。今回の「Ploom AURA」とのコラボも、それに近い面白さがあると思っています。
例えば“緑青”は、八木さんがある神社の屋根を葺き替えることになり、その屋根のトタンをいただいてきて作ったという茶筒がとても良くて、そこからヒントをもらいました。古びたものをリプロダクトする感覚ってイケてるなって。マルタン・マルジェラ時代のマルジェラブルーみたいな色合いで、ファッション的な要素もあるなと思いました。

—— 実際に完成品を見た感想は?
山口 僕はここに到達するまでの過程を知っているので、すでに愛着はあるのですが、実際にユーザーに届いた時にどんな反応があるのか、結構楽しみにしています。自宅で天童木工オリジナルのブラジリアンローズウッドのデスクを使用しているのですが、それをイメージソースにした“ローズウッド”も気に入っています。「Ploom AURA」のデバイスを見た時に、キセルに見えたんですよ。それで木が良いなと思いました。ブラジリアンローズウッドは現在世界的に取引が規制されていて、それ以前に輸入・製造されたヴィンテージ製品しか存在しないんです。そういう素材をイメージしてサンプリングするのも面白いかなって。

スティックトレイについても、上出さんにずっと昔から灰皿を作ってほしいとお願いしていたんです。「別になんでも灰皿すればいいじゃないですか」みたいな反応だったのですが、今回のプロダクトで実現しました。もともと上出さんの湯呑みでお馴染みの伝統的な絵柄なのですが、よく見るとPloom AURAを吸っている絵になっています(笑)。スティックケースも同じで、そもそも八木さんに頼んでいたものです。「Ploom」のスティックを入れる用の筒を作ってほしいと。これはオランダのタバコを入れる缶からリメイクされているのですが、今回は開化堂の茶筒として制作していただきました。だからもうすでにストーリーはあったんですよね。

—— “金継”もそうですが、経年変化を楽しむことがコラボのテーマとなっています。一郎さんの中で「経年変化」はどのような体験なのでしょうか。
山口 まず一番大きいのは、ギターですよね。やっぱり新しいモデルのギターと同じモデルの40年前のヴィンテージギターって、素材も違うし、ピックアップという電子的なパーツも違う。確かに音が違います。基本的にはどちらかというと新しいものの方が良い音のはずなのですが、古いギターって、やっぱりそのギターにしか鳴らない音があるんです。

悪い音なんだけど、好きな音。悪いんだけど、良い。矛盾しているじゃないですか。感覚に左右される。音源自体も、例えば容量が多いデータが良いのか、それともレコードの音の方が良いのか。どちらが好きかは、個人の嗜好によるというか。だから、基本的には経年変化するものを好きというのは嗜好なんです。

僕はやっぱり変化していく過程も好きだし、使い続けていくことで変わっていく差異を知ることも好きだし。もともと古き良きものの質量が好きなので、そこにアプローチするものが欲しい。ギターだけじゃなくて、例えばプロダクトやファッションもそうですが、自分が好きなものは何かという基準を確認する上で、経年変化を意識するのは、自分にとって大切なプロセスなんですよね。

Ploom AURA× 山口一郎コラボレーションパネルの発売は1/27(火)から。お買い求めは全国のPloom Shop(銀座店、名古屋店、なんば店、天神店)とCLUB JTオンラインショップで。
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また、コラボレーションアクセサリーが当たるキャンペーンは下記WEBサイトをチェック

Ploom AURA × 山口一郎 コラボレーションアクセサリーが当たるキャンペーン実施中 | Ploom CLUB(プルーム・クラブ)
キャンペーン期間:2026年1月19日10時00分〜2月28日23時59分

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