ISSEY MIYAKE AW2020/21
「Making Speaking, Speaking Making」

日本を代表するブランド「ISSEY MIYAKE」の2020A/Wアイテムの展開が、7月1日より開始される。1970年にデザイナー三宅一生が「三宅デザイン事務所」を設立してから半世紀。今なお世界中で愛され続ける同ブランドの新たなアイテムの登場を前に、今年3月に開催されたパリコレクションの模様を改めて振り返る——

©ISSEY MIYAKE INC.
TEXT: ARAI NATSU

 
3月1日、10時から開催されるISSEY MIYAKEのコレクション、開始10分前には招待客が続々と会場に集まってきている。会場となる高校の体育館は天窓から光が差し、クリーム色と緑を基調とした内装は歴史を感じさせる。

白い大きな紙に黒いペンでくっきりと人型が描かれ、それが突然スッパリと切り取られた。そこから人型のイラストレーションのような、白に黒いラインが縁取られたルックのモデルが登場する。それはまるで子供の頃、黒いペンで縁取りを描き、ハサミで一生懸命紙をクルクルと回しながら切って作った工作を想起させる。

「FRAME AP」

次のモデルは2階のギャラリーの階段から登場。ピンク、オレンジ、黒の絵の具を1枚の紙に塗り、ぺたりと貼り合わせて混ぜたような印象を与える。偶発的に生まれる花柄のような模様は、じゅわっ、ごしごしというオノマトペのイメージらしい。赤、黄色、青、灰色、黒のニットドレスは色ごとに編みが違い、それぞれ異なるテクスチャーを生み出している。続いて白、黒、黄色、赤、茶色のボリューミーなダウンシリーズが登場。ジッパーが所々に付いていて、開閉によって様々なフォルムに変化する。こげ茶色のプリントが大胆にあしらわれたシリーズは“DORO”。紙の上で泥をこねた後のような掠れた茶色から、しっかり跡が残ったこげ茶までのグラデーションを手書きしたテキスタイル。

「DORO」
「AURORA」

“AURORA”と名付けられたルックはゆらゆらと風に揺れる。薄紫のトップスとスカートは繋がっており、歩くたびに裾がふわりと広がる。しんしんと雪が降り積もっているようにも見える白いトップスと、冷たさというよりは包まれる優しさがあるトラウザー。正方形のようなドレスにはプリーツが施され、モデルはクルクルと回ったり、しゃがんだりと、フォルムの変化を楽しませてくれる。白い木質の板には人型が5つ切り取られ、そこから登場したのは5人のモデルと、それぞれの袖の部分が繋がったニットのガーメント。モデルたちは思わぬところに開いた穴から腕を通していて、各々異なるシルエットが生まれる。“HAND IN HAND”と名付けられたこのルックの最後には、手も服も繋がり、人々がみんな繋がっているという強いメッセージを感じることができた。

「HAND IN HAND」

全7つのテーマで構成された今回のコレクション。五感を通じて繋がるということをとおし、未来へ向けたポジティブな思いがそこには込められていた。デザイナー近藤悟史によるセカンドシーズン、モデルたちは終始笑顔だった。
 

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