Foxfire True to nature Vol.11 吉田拓

自然に挑むのではなく、自然と共に生き、自然に対して真摯であること。
過酷な自然の中で生きる人々を支える仕事がある。日本赤十字社のルワンダ事業の代表として現地で活動をする吉田拓に話を訊いた。

構成=Coyote編集部

世界を股に掛けて仕事をするようになって、もう18年になります。国際的な仕事に漠然と憧れを抱いたのは中学生の頃でした。当時、世界は東と西とに分けられ、僕が生まれるずっと前から形成されてきた“世界”が音を立てて崩れていく様をニュースや新聞で目の当たりにしました。ベルリンの壁の崩壊やソ連の消滅、ボスニア紛争のような民族紛争の勃発。中でも当時衝撃的だったのが、ベネトンの新聞広告です。若い兵士が着ていた軍服が、弾痕とともに血で真っ赤に染まっている写真を使った広告です。その時自分の中に、何かできないだろうかという思いが芽生えました。その“何か”は漠然としたものでしたが、今に至るまでその思いは揺らぎませんでした。

最初は大使館や国際協力機構の専門家として、南米や中米でキャリアをスタートしました。政府側の仕事から、次第に現地の人の生活に直接役立てることがしたいと強く思うようになり、2013年にフィリピンを襲った大型台風ヨランダの被災地復興事業に参加したのが、日本赤十字社との最初のご縁でした。フィリピンで2年務めた後はインド赴任を経て、2020年にルワンダに赴任しました。ルワンダは世界的にも気候変動の影響が大きな国で、日本赤十字社が支援することで現地の人々の生活の向上が見込めるということで、2019年に支援プロジェクトが発足しました。

僕らのような先進国の人間にとっては、気候変動は生活圏から離れた場所で起きている出来事かもしれませんが、自然の中で暮らすルワンダの人は、まさにその渦中にいる。例えば、降雨パターンが変わるだけで今までの生活を続けることが困難になります。ですが、彼らが気候変動を認知することもそれに対処することも難しいので、僕ら外部の人間がその問題について教え、彼らをリードしていく必要があります。

Foxfire True to nature  Vol.11 吉田拓

ルワンダの村は農業が主な産業で、1日一人当たり80円という、国連が定める絶対貧困レベル以下の暮らしをしています。そこで、僕らが支援する村では全世帯に種や苗を与えて小さな家庭菜園を作るよう促しています。一見地味ですが、食料を自給することで1日10円浮く。1週間で彼らの1日分の稼ぎに相当し、年間で見れば1カ月半もの食費が浮きます。それだけ暮らしが豊かになることに繋がります。

このように、現地のことを発信する際には僕はあらゆるものを数値化して伝えたい。例えば毎日片道30分かかっていた水汲みの時間が1分短縮されると、村人の生活がどれだけ向上するのか、数字で示すことができる。数値やエビデンスを先進国の支援者に具体的に提示できれば、「あなたが〇〇してくれたら村人の生活がこれだけ良くなる」という明確なリターンと意義を伝えることができます。また、こうした仕事を“意識の高い人”による奉仕活動のように捉えられたくはありません。多くの人を巻き込み、全体の意識を同じ方向に向けて解決に導きたいです。

一方で、彼らの暮らしから教わることも多い。何が起きても日々の暮らしは続いていきますから、今できることを積み重ねていくことが苦しい状況を改善していく確実な一歩なのだと。

日本赤十字社の国際活動と連携して
Foxfireがルワンダの支援を開始
日本赤十字社の国際活動と連携して Foxfireがルワンダの支援を開始
2022年より、<着る防虫>素材のスコーロン®製品における収益の一部が、ルワンダの住民が主体となって、自分達の力で貧困や感染症など地域の様々な課題に取り組むための寄付に充てられるほか、現地職員・ボランティアの方々が安心安全な支援活動が行えるよう、スコーロン®製品の提供を行っている。

<問い合わせ>株式会社ティムコ 03-5600-0121
more info ☞ www.foxfire.jp

 
 
本稿を収録したCoyote No.77 特集 絵本の中の「せんそう」はこちら
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