写真家・浅田政志が「浅田家」を語る【前編】
(RADIO SWITCH テキスト版)

9月20日に発売の雑誌「SWITCH」は写真家・浅田政志の総力特集。「家族」をテーマに20年にわたり写真を撮り続けてきた浅田政志とはどのような人物なのか。なぜ浅田の写真は被写体を、そしてそれを見た人を引きつけるのか。浅田の口から語られる「家族写真」の持つ本当の力とは。

僕の写真は「記念写真」です。

けれどいわゆる普通の記念写真とはすこし違います。

普通はどこかに出かけたらメインの場所でパチリ。みんなでたまたま集まったら並んでパチリ。それはそれで、もちろんいい写真だなと思います。でも「浅田家」の記念写真は、みんなで休みを合わせて場所を借りたり、服を決めたり、シーンを考えて写真を撮ります。それは自ら記念を作っていく記念写真です。待っていてもなかなかこない記念日を、写真を通じて作り上げていく——。

この地球にどれだけたくさんの、どれだけ多種多様な家族がいるか、僕には想像できません。いろんなところへ行って、いろんな家族に出会って、いろんな記念写真を撮るのが、今の僕のしたいことナンバーワンです。その場が、その1枚がどれほどのものなのか、一度体験してください。

本当は写真じゃなくてもいいのかもしれない。

ただそこから動き出すものを信じています。

写真家・浅田政志(RADIO SWITCH 冒頭モノローグより)

以下に掲載するインタビューは、本誌発売に先駆け9月5日に放送されたJ-WAVE「RADIO SWITCH」のダイジェスト版です(訊き手・SWITCH編集長新井敏記)。SWITCH本誌では浅田の新作ポートフォリオや代表作を一挙掲載するほか、作家戌井昭人が浅田とともに浅田の故郷・三重県津市を旅する密着ドキュメント、浅田政志が写真の本当の価値を語るロングインタビュー、そして二宮和也と妻夫木聡を浅田政志が撮り下ろす特別フォトセッションなど、66ページに「浅田政志と家族写真」の魅力を詰め込んだ渾身の1冊です。10月2日公開の映画『浅田家!』とともに、ぜひお楽しみください。

 

浅田政志と「SWITCH」の出会い

(「SWITCH 特集 浅田政志と家族写真」より)

 

—— 浅田くんとは作家戌井昭人さんとの連載「SWITCH INTERVIEW」が通算62回を数えました。浅田くんの撮影するポートレイトと、戌井さんによるインタビュー、毎号いろいろな人のストーリーを掲載できることが楽しみなんです。そもそも「SWITCH」との関係は、連載以前からもありましたが、ついに9月20日に浅田政志特集を刊行できることが嬉しいです。

浅田 こちらこそありがとうございます。

—— 10月2日には映画『浅田家!』が公開されますが、写真を撮り続けてきた今の心境を聞かせてください。

浅田 今でこそ「SWITCH INTERVIEW」で6年も連載させてもらっていますが、三重から東京に出てきて、東京で働いていた写真スタジオを辞めるとなった時に、写真の仕事で生計を立てられたらいいなと思って出版社に営業をしていたんですが、一番最初に「SWITCH」に行ったのを思い出して(笑)。

—— はい(笑)。

浅田 やっぱり写真がかっこよかったので「SWITCH」で仕事がしたかったんです。そんな雑誌で今回僕の特集をしてもらえるということが何より嬉しいです。

—— 「SWITCH」では映画『浅田家!』もそうですが、「写真家・浅田政志」を特集するという強い思いがありました。浅田くんの魅力をどのようにして伝えられるかを考えながら。

浅田 やっぱり一般的には「おもしろい家族写真を撮ってる人だよね」というイメージだと思うので、「SWITCH」の切り口で僕を解体して、あらためて提示してもらえるということは嬉しいです。

—— 最初に写真集『浅田家』を見た時、その発想に衝撃を受けました。セットアップ写真というスタイルは新しいものではないけれど、自分の故郷・三重県津市に根ざすかたちで、三重のさまざまな場所でいろいろな職業に家族4人でなりきる、ということをこれだけ徹底して撮影されたことに感動しました。

浅田 確かに家族写真そのものは写真が発明された当時から撮られているくらい古くからあるジャンルですし、自分でない何者かになりきる、という点ではシンディ・シャーマンさんなどが有名です。なので決してスタイル自体は目新しいものではないですが、自分の家族でそれを7年間撮り続けたのが『浅田家』という写真集で、懲りずに続けてきたことが珍しいというのはあると思います(笑)。

 

三重県津市と「浅田家」

(「SWITCH 特集 浅田政志と家族写真」より)

 

—— 今回の特集で浅田くんと作家の戌井昭人さんと津市に行き、写真集『浅田家』に協力した人たちにも出会えました。たとえば津市消防署の方や「刀根菓子館」というお菓子屋さんの方。自分たちの街の誇りを浅田くんが伝えてくれたということに対する感謝が伝わりました。

浅田 津市のみなさんの協力で『浅田家』ができたことは映画でも描かれているので、大きいスクリーンで自分の街が映っていることに熱いものを感じていると思います。

—— 消防署の署長さんは、映画『浅田家!』の冒頭で津市の風景が出てきただけで涙が出てきたと。

浅田 肉眼では毎日見られる景色ですが、それをスクリーンで見ると、あらためて「津市はこういう街だったんだな」と気づく映画の魅力がありますね。

 

*後編へつづく

 

「SWITCH 特集 浅田政志と家族写真」ではより深く浅田政志が写真について語るロングインタビューを掲載しています。なぜ浅田政志は「家族写真」を撮り続けるのか。その本当の理由、そして浅田の写真の価値を変えた出来事とは。ぜひ本誌にてご覧ください。

 



SWITCH Vol.38 No.10
特集 浅田政志と家族写真

価格 1,000円+税
ISBN 9784884185336

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特集 浅田政志と家族写真
価格 1,000円+税
ISBN 9784884185336



 

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