WELCOME TO THE OUTDOOR LIFE

配給:松竹 ©️あfろ・芳文社/野外活動委員会

キャンプブームと呼ばれ、男女問わず幅広い世代の人が思い思いのアウトドアを楽しむようになった背景には、原作コミック発行部数700万部を数え、現在映画版が公開中の『ゆるキャン△』の影響も大きい。人はいったいキャンプに何を求めているのか、『ゆるキャン△』が伝えてきたキャンプの魅力とともに紐解く

INTERVIEW
花守ゆみり(各務原なでしこ役)| 映画館で観るアウトドア

HAIR & MAKE-UP:OBA YUMIE
TEXT: OKUDA YUYA

女子高生のキャンプを描いた『ゆるキャン△』の映画は、大人になった彼女たちの物語。なでしこの声を演じる花守ゆみりが思うキャンプの魅力とは

変幻自在なキャンプの魅力

『ゆるキャン△』という作品では、それぞれの人物に流れる時間が印象的に描かれています。それこそ、なでしこを含む野クル(野外活動サークル)勢でグループキャンプをしている時のテンポと、リンちゃんがソロキャンプを楽しんでいる時のテンポは全く異なります。リンちゃんは一人でご飯を食べた後にコーヒーを飲んで一息つき、それから本を読み始めます。そのように風の音や焚き火の音を聞きながら静けさを楽しむこともあれば、野クル勢の「やばい! どうしよう」と常にどこからか悲鳴や笑い声が聞こえてきそうな、みんなでキャンプというひとつの思い出を作っていく楽しみもあります。キャンプには様々な表情があり、どんな過ごし方も正解なんだと『ゆるキャン△』は教えてくれます。

私自身、『ゆるキャン△』がきっかけで友人と一緒にキャンプを始めたのですが、ただ焚き火を見つめながら火バサミで薪を整えている時が、身も心も安らげている実感が湧いて一番好きな時間です。今度は実家で飼っている犬を連れて家族でキャンプに行きたいですね。ドッグフリーサイトのあるキャンプ場もあるので、いつもの散歩コースとは違う場所でのびのびと遊ばせてあげたいなって。

今を生きる人に寄り添う映画に

今回の映画が数年後の設定だと知らされた時は衝撃でした。社会人になった彼女たちが再会してキャンプをするのではなく、キャンプ場を作ってしまうというストーリーにも驚かされました。なでしこは東京のアウトドア用品店に勤務しています。キャンプを楽しんでいた彼女だからこそ、接客中も相手のことを第一に考えるあまり他店の商品を薦めてしまうなど、ますます素敵な女性に成長していました。そんな彼女を演じていると思わず涙が出そうになるので、パートロールが終わる毎に深呼吸して、私の知らない月日を受け止める時間を設けていました。

ゆるやかな展開が魅力のアニメシリーズに比べて、映画では少し背筋が伸びるようなシーンも追加されています。リンちゃんとなでしこの二人が静かに自分の気持ちを話し合う場面は、原作でも大切にされています。もう“あの頃”には戻れないという喪失感と、一方で大人になってから手にした可能性に向き合う、そのようなシーンが今回の映画にはあって、私としては一番大切に演じさせていただきました。

大人になるとはこういうことだと感じられるシーンが随所に散らばっていて、二十代半ばの私も「あ、この気持ちは知っているぞ」と、ハッとする連続でした。きっと観る世代ごとに共感できる部分も異なると思います。今回も『ゆるキャン△』から教わることが多かったので、キャンプを通じて彼女たちはどう成長していったのか、劇場で感じていただけたら嬉しいです。

花守ゆみり
m&i所属声優。代表作に『ラディアン』(セト役)、『転生したらスライムだった件』(シズ役)、『東京喰種:re』(ミザ役)、『ブルーピリオド』(鮎川龍二役)、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(早坂愛役)など

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こいしゆうか | キャンプの可能性