サウナの教室 タナカカツキ校長のお話②「サウナはこれからがおもしろい」

サウナブームと呼ばれる昨今ですが、そのピークはまだ先にあるのかもしれません。今後サウナは、暮らしの中にどう浸透していくのでしょう。タナカカツキさんに、これからのサウナの話を聞きました。

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語り=タナカカツキ
構成=Coyote

 
サウナ室、水風呂、外気浴を繰り返すことで、ととのう。サウナ以外でも、気持ちが晴れ晴れとする体験はたくさんあると思うんですよね。例えば運動した後も、汗かいて土手に座って風に吹かれれば軽くととのいますからね。サウナに入るメリットを伝えてきましたが、サウナは自律神経に働きかけて代謝を促したり、メンタルに影響を及ぼしますが、筋肉はあまり使っていないんですよね。だから毎日のようにサウナに通い運動をしない生活していると当然筋力が低下していきます。デスクワーク中心の生活で歩かずに車移動、サウナに行ってもずっと座っているだけ。そうすると加齢とともに筋肉が骨を支えられなくなって、腰痛、痺れを起こしやすくなり、神経痛への道です。サウナと長く付き合っていくためには、そこを補う必要があります。

ほとんどのジムにはサウナが併設されています。運動をしてから一休みしてサウナでリラックスできれば、それはひとつの理想的で美しい流れです。とはいえ、筋トレとかイヤですよね。私はイヤなんです(笑)。ジムって最初は楽しいけど継続が難しい。もっと楽しく、自然に運動ができてサウナに入れたらいいと思いませんか。近い将来、エンタメ化したジムがもっと出てくると思うんです。VRやリングフィットのようなテクノロジーが既にありますよね。ゲームをするように運動ができて、仲間と点数を競ったり楽しみながら筋力の保持や強化ができるようになる。ジムは基本的に会員制なのでサウナもサブスク化されて習慣化し、デスクワーカーとしては理想的なルーティーンが期待できます。サウナとVRの、好循環が生み出される時代がこれから来ればいいなあと思います。

他にも、日本は高齢化社会ですから、お年寄りが家族や孫と楽しめる場所として温浴施設が注目されています。地方には水も景色もきれいな場所がまだまだたくさんあります。温泉は出ないかもしれませんが、サウナは作れるじゃないですか。サウナってロケーションも大事で、自然の中にあるサウナを求めて都市部から人が集まります。サウナは地方創生の一つのアイデアとして注目されていて、例えば雪が少なくなって人がまばらになったスキー場にサウナを作れないかだとか、そういうプレゼンが今全国で盛んに行われているんです。

これは日本だけの話ではなく、海外の都市部でも同じのようです。仕事がテレワーク中心になって会社に行く必要があまりなくなってきたことで、会社を保養所にすればいいという考え方の企業が出てきています。会社に行くことでより自然と触れ合えたり、動物と触れ合ったりね。バリスタが淹れる美味しいコーヒーが飲めたり、中には会社にサウナを作るという事例も出てきているようです。日本以外でも都市型サウナが盛り上がりを見せているのは働き方が変わってきたから。特に海外はお湯に浸かる文化があまりないので、スパ&ジム&サウナが中心です。そういう働き方×サウナの多様なスタイルがこれから増えていくんじゃないかなと思います。また、日本には水質の良い美しい川がある。日本の川×サウナ、川はクールダウンにも使えますし、川遊びがそもそも楽しいじゃないですか。グランピングやキャンプとサウナの組み合わせもますます盛り上がってますし、サウナはこれからがおもしろいと思います。

タナカカツキ
マンガ家。日本サウナ大使。66年大阪生まれ。85年マンガ家デビュー。著書には「オッス!トン子ちゃん」「サ道」、天久聖一との共著「バカドリル」などがある。カプセルトイ「コップのフチ子」企画、原案。

 


Coyote No.73
特集 自然と遊ぶ、サウナのある暮らし
1,200円+税

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タナカカツキ描き下ろしステッカー

WEB特典:

ISBN:978-4-88418-5596
2021年3月15日刊行