インタビュー、紀行文、出会った人々。
 
SWITCH・Coyote編集長 新井敏記が
 
一つひとつ綴っていきます。

 

2019.7.20 ずっとこのまま

毎週土曜日23時からJ-WAVEにて放送中の「RADIO SWITCH」では、月一回ロングインタビューがある。SWITCHが憧れる人たち—— 写真家や作家、音楽家など、特集はもとより連載などで誌面を飾った人たちが登場する。

インタビュアーとして彼らの話に耳を傾ける。彼ら彼女らがどこへ向かうのかが、最大の関心事だ。インタビューを重ねる事で彼らの成長の軌跡を知る。その楽しみをSWITCHは号を重ねる事で読者に伝えてきた。旅と同じだ。同じ場所に何度も出掛けていくと、その場所をより深く知ることができる。

見知らぬ場所に行きたいと思うのもSWITCHの取材を通して生まれた感情でもあった。

インタビュアーは時にインタビューイに訊かれることもある。時に突拍子もないリクエストもある。

作家池澤夏樹にこう問われたことがあった。

「君は沖に向かって泳ぐタイプか、岸に沿って泳ぐタイプか?」

正直どちらのタイプかよくわからない。でも、「失敗する勇気ならあります」と答えた。やらないことでの失敗はなく、やったことで失敗する。そのように生きてきた。

「失敗の後で出発する、それは勇気だね」

雑誌が好きだ。成功を信じて失敗を繰り返す、その無駄が愛おしい。

星野道夫には旅を駆るために、トイレで読める雑誌を作ってくださいと言われた。

「原野においてトイレは一番緊張する時間なんです。だから自宅に戻ってきた時に、落ち着いてトイレに入る時間がなによりも楽しみなんです。今までの旅を振り返り、これからの旅に思いを馳せる」

雑誌「Coyote」「MONKEY」はSWITCHの夢がどんどん膨らんでいった結果だ。

RADIO SWITCHが誇るもののひとつに選曲がある。沢木耕太郎ロングインタビューの最後にジャズがかかる。ジミー・スコットの「Heaven」だ。スティーヴィー・ワンダーやマーヴィン・ゲイに多大な影響を与えたジミー、その天使の歌声が邂逅を一つの物語としていく。

「誰も歩いたことのない原野で自分の足跡を置く、私はそのように生きてきた。私は私を生きてみよう」

沢木の言葉が音楽と重なって聴こえた。

スイッチ編集長 新井敏記