空山基とミズノが目指した”無”のデザイン
WAVE PROPHECY SORAYAMA

BEYOND THE LIMITS WAVE PROPHECY SORAYAMA

ミズノとアーティスト空山基のコラボレーションにより、未知なるデザインのスニーカーと義足板バネが誕生した。メタリックシルバーの美しいカラーリングに、空洞を活かした大胆なデザイン。両者の新たな取り組みが、世界を驚かす

PHOTOGRAPHY: TADA
TEXT: SWITCH

 

DIALOGUE
空山基×髙桑早生 “無”から生まれる機能と形

 

空山基×髙桑早生

左:空山基 1947年愛媛県生まれ。人体と機械の美を追求した作品で、国内外で高い評価を受けるアーティスト。代表作『セクシーロボット』シリーズは、その後のロボットのイメージ形成に大きな影響を与えた
右:髙桑早生 1992年埼玉県生まれ。陸上競技T64クラス。2012年ロンドンパラリンピック、2016年リオパラリンピックに出場。両大会ともに100m、200mで日本人唯一の決勝進出を果たした

 
空山基がデザインを手掛けたスニーカー「WAVE PROPHECY SORAYAMA」と義足板バネ「KATANAΣ」。これまでにない新しい発想でデザインされたそのプロダクトに込められた思い、そして機能について紐解くため、「KATANAΣ」を装着し東京パラリンピック出場を目指す陸上選手の髙桑早生と空山の二人に話を訊いた。

—— どういったコンセプトからこのスニーカーづくりは始まったんですか。

空山 自分はずっと冠婚葬祭で革靴を履くのが嫌だったんです。痛いし、硬いし。でも海外ではセレブたちがフォーマルな場で、ジャケットにスニーカーやジーンズをお洒落に着こなす姿が当たり前になっていて、徐々にそうしたマナーに雪溶けを感じているんです。日本でも今後フォーマルな場でスニーカーを履く機会がどんどん増えてくるはずです。若い人に向けた、そうした場でも履けるカッコいいスニーカーというコンセプトが、そもそもの始まりでした。

—— 通常のWAVE PROPHECYは、ソールの空洞は5つなのですが、空山さんのモデルでは6つに増えています。

空山 この空洞は“無”を表現しています。空気の上を走っているイメージで、それを表現するために、空洞はギリギリまで増やして6個にしました。透明で、存在感を消した靴底にしたかったんですね。本当は全部透明にしたかったけど、その代わりにメタリックシルバーを取り入れたことで、周りを反射して存在を景色の中に消すことができるんです。

空山のアイデアをもとに構造のポイントが書き込まれたラフデザイン

空山のアイデアをもとに構造のポイントが書き込まれたラフデザイン

—— アッパーにも透過性のある樹脂素材が使用されています。

空山 アッパーを半透明にすることで、靴下の色などコーディネートの幅が広がると思ったんです。そうしたファッション的な発想も取り入れつつ、存在感のないもの、“無”をどれだけ表現できるか、ミズノと相談して形にしていきました。義足板バネのデザインについても、同じテーマで取り組んでいます。

—— 板バネについて髙桑選手に伺います。こちらの「KATANAΣ」ですが、実際に装着して練習や試合に取り組む中で、性能面での特徴はどのような点に感じていますか。

髙桑 一番は軽さですね。これを着用するまで、身体と走りのバランスを取るためには、板バネには適度な重さが必要だと思っていたんです。でもこの「KATANAΣ」を着用して5カ月ほど経ちますが、自分が考えていた以上に、この軽さが走りにプラスになると実感しています。これは新たな発見でしたね。

—— 大きな空洞が軽さを生み出していると思いますが、こうしたデザインはこれまで競技用の義足にあったのでしょうか。

髙桑 ここまで大きく穴が空いたものは、海外の選手含めて見たことがありません。10年前は考えもしなかった形なので、技術の進化を感じています。

—— 「KATANAΣ」に関しては、以前から続くミズノと福祉機器メーカーの今仙技術研究所との共同開発プロジェクトがあり、バージョンアップを重ねてきたと伺いました。

髙桑 はい、本来義足を変えるのはとてもチャレンジングなことですが、これまでミズノさん、イマセンさんと何度も試行錯誤を繰り返してきた信頼があったので、空山さんの斬新なデザインを提示された時も、躊躇なく直感で試してみようと思いました。ここまで空洞を大胆に設けるのは技術的にはやはり難しいことだと思うので、これまでの試行錯誤の結晶であるこの義足で走る姿をみなさんに見せられたらと思います。

WAVE PROPHECY SORAYAMA

WAVE PROPHECY SORAYAMA
ミズノのフラグシップスニーカー「WAVE PROPHECY」シリーズを、空山基ならではの大胆なデザインで再構築した一足。ミズノ独自のソールユニット「INFINITY WAVE」をアップデートし、屈曲性の向上と軽量化を図った。ソール内側には、「SORAYAMA」ロゴが配置されている。¥35,000(税別)
■発売日
2月6日(土)
2G TOKYO、2G OSAKAで1月30日(土)先行販売
■販売店舗
2G TOKYO/2G OSAKA/DOVER STREET MARKET GINZA/KITH TOKYO/GR8/MIZUNO TOKYO/MIZUNO OSAKA CHAYAMACHI
 

KATANAΣ(カタナシグマ)

KATANAΣ(カタナシグマ)
ミズノと今仙技術研究所の共同開発により誕生したトップアスリート向けの義足板バネ。板バネの先端部分に空気孔を設けることで、空気抵抗を3割軽減することに成功した。美しいシルバーのカラーリングは髙桑選手のようなトップ選手専用。今春、今仙技術研究所より一般の方向けにも販売予定
 
ミズノ公式サイト