SWITCH
SLAM DUNK――10 days after
湘北高校が甦った3日間

2004年8月10日、新聞6紙に一斉に掲載された全面広告。高校バスケを描いて一世を風靡した漫画『スラムダンク』が1億冊を突破したことを記念して、作者の井上雄彦が自ら広告主となり、多くの人々を驚かせたことは記憶にあたらしい。
そこで立ち上げられた“『スラムダンク』1億冊感謝記念サイト”には、ファンからの感謝のメッセージが多数寄せられた。サイトのクローズにあたり、井上雄彦はファンのために一つのイベントを企画した。
2004年3月をもって廃校となった旧神奈川県立三崎高校を借り、最終話から10日後の「彼ら」を、教室の黒板に描きだす――。
12月3日、三崎口駅からのんびりした風景を眺めつつ歩き、校門をくぐり抜けたファン達は、井上雄彦直筆のメッセージを前にして歓声をあげた。
そして2階に登ると、教室の入り口には一言こう書かれた小さな黒板がある。「あれから10日後――」
そのメッセージに、「うわーヤベエ。俺もう泣きそう」と声を発する高校生男子。
『スラムダンク』の世界を共有したことのある誰も彼もが、その一言だけでこれから何が起ころうとしているのかを了解する。
『スラムダンク』最終話を飾った「湘北対山王工業」戦。鳥肌が立つのを抑えられなかった、あの衝撃的なラストシーンから10日後の「彼ら」。赤木晴子、三井寿、宮城リョータ、赤木剛憲、木暮公延、流川楓。そして、桜木花道――。
湘北高校のキャラクター達だけではない。数々の名勝負を演じてきたライバル達の「その後の日常」も描いた作品を、読むことができる――。
会場を訪れた人々は、ときに微笑み、ときに吹きだし、ときには涙さえ目に溜めながら、1枚1枚、23教室をゆっくりと巡っていった。
そして、体育館では、バッシュを持参したファンがバスケを始める。知らない者同士がチームを組んで試合をすることすらある。
12月の3日間だけ開催された、まるで学園祭のような手作り感あふれるイベント。神奈川県を舞台とした高校バスケ漫画『スラムダンク』の世界観を再現するために絶好のロケーションを得て、湘北高校が現実のものとなった。

井上雄彦サイト
http://www.itplanning.co.jp/

写真:山本哲也